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IEEJ Outlook 2026 サイトはこちら
定例研究
第451回定例研究報告会
「 IEEJアウトルック2026 -理想と現実の狭間で不確実性が深まるエネルギー転換の課題-」
~ 2050年までの世界エネルギー需給見通し ~
◆ 要 旨
エネルギー需給展望
エネルギー需要は自然体では2050年まで増加が続く
本アウトルックでは、2050年までの世界のエネルギー需給見通しを2つのシナリオで分析した。現在の政策・技術動向が趨勢として続くとする「レファレンスシナリオ」では、 世界の一次エネルギー消費は新興・途上国を中心に今後も堅調に増加を続け、2050年 には2023年比で14%増加する。
他方、エネルギー安全保障と脱炭素化の推進に向け、さまざまなエネルギー技術の最大限の導入を前提とする「技術進展シナリオ」では2030年前後にピークを迎えて緩やかに減少、2050年には2023年比6%減少となる。
技術進展シナリオでは世界のCO2排出は現在の59%まで削減
二酸化炭素(CO2)排出量見通しはシナリオ間で大きく異なる。レファレンスシナリオでは2050年まで世界全体で足元の水準からほぼ横ばいとなる。先進国の排出削減を新興・ 途上国の経済成長に伴う排出増加がほぼ相殺するためである。
一方、技術進展シナリオでは2050年の世界のCO2排出は2023年比59%削減される。ただし非電力部門、とりわけ産業(高温熱)や運輸(長距離輸送)部門では電化が困難であり、これら部門での脱炭素化が全体としてのネットゼロに向けた大きな難題となる。水素や合成燃料は有望な代替策だが、高コストが課題であり、今後のさらなる技術進展とコスト削減が不可欠である。
著しい電力需要増と安定供給の課題
世界の発電量は両シナリオで大幅に増加が続く。レファレンスシナリオでは2023年比で66%増、技術進展シナリオでは電化や水素・二酸化炭素回収・貯留(CCS)需要の拡大により2倍近い増加となる。この背景には、現在、世界が注目するデータセンターの急成長に加え、新興 ・途上国を中心とした産業部門の成長や民生部門での冷暖房需要拡大がある。
この大幅な需要増加を賄い、電力安定供給を果たすため、十分な供給力確保が必要となる。太陽光・風力が全体の発電量増分のうち多くを占める見通しである。ただし、2030年頃から適地の不足、供給変動に対応するための統合コスト上昇といった制約が顕在 化するため、火力、原子力、その他再生可能エネルギーへの投資も不可欠である。
化石燃料需要はシナリオによって大きな幅が生じる
化石燃料需要の将来には大きな不確実性がある。石油需要は電気自動車(EV)普及や効率改善の進展度合いにより大きく異なり、レファレンスシナリオでは2050年まで増加 する一方、技術進展シナリオでは大きく減少する。このため、3種類の化石燃料の中でシナリオによって最も大きな振れ幅を示す。
天然ガス需要は両シナリオとも堅調で、技術進展シナリオであっても2050年に現在と同程度の需要規模が維持される。
石炭は主に新興・途上国の発電需要を支えるが、再生可能エネルギー拡大が進めば需要が大幅に減少する可能性がある。
しかしいずれにせよ、化石燃料はエネルギーの大宗を占め続ける。技術進展シナリオでも化石燃料は世界の一次エネルギー消費の54%を占める。したがって、エネルギー転換を進める中でも化石燃料の安定供給は引き続き重要な課題である。
インドとASEAN: 需要急増と供給面の制約
先進国や中国のエネルギー需要が今後減少する中、新たに需要増加を牽引するのはインドや東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめとする新興・途上国である。インドでは 2050年にかけて1人当たりの年間所得が1万ドルに迫り、レファレンスシナリオでは最終エネルギー消費が現在の約2倍に増加すると見込まれる。ASEAN各国も所得増加と工業化に伴い消費増加が続く。
インドでは、民生・産業の需要拡大により、レファレンスシナリオでは発電量が今後25年で3倍以上に達すると見込まれる。太陽光の導入拡大が期待されるが、農地との競合が課題であり、それだけで電力需要をすべて賄うことは難しい。さらに、社会課題である送配電損失率の改善も求められる。
ASEANのうちマレーシアでは、データセンター需要の拡大などによりレファレンスシナリオでは2050年に発電量が約2.5倍に増加する見通しである。国内資源を活用した天然ガス火力の増加が見込まれる。CO2排出削減に向けてはボルネオ島に集中する再生可能エネルギー適地を活用するために、人口の多いマレー半島との電力系統の連系強化が鍵となる。
アジアの輸入依存度上昇と国際エネルギー市場への影響
インド・ASEANの国内需要増により、石油・天然ガスの輸入依存度が上昇する。また、2050年には原油貿易の85%がアジア向けとなり、その半分以上が南・東南アジア向けとなる。結果として、アジアは国際エネルギー貿易における存在感をいっそう高めることになる。
インド、ASEAN、他アジア新興・途上国を合わせたCO2排出削減ポテンシャル(レファレンス・技術進展シナリオにおける排出量の差分)は、先進国全体や中国に匹敵する。 この3地域の削減実現に必要な投資額は年間約2,400億ドルで、これは国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)で合意されたすべての新興・途上国向け資金目標(年 3,000億ドル)の80%に相当する。この規模の投資を実現するためには、民間資金の喚起が不可欠である。
統合コストを考慮した変動性再生可能エネルギー電力の可能性
変動性再生可能エネルギーへの期待と課題
脱炭素化に向けて二酸化炭素を排出しないエネルギー源の大幅な増加が必要となる。 特に、最近まで大幅拡大が続いてきた太陽光発電、風力発電等の変動性再生可能エネルギー(VRE)のさらなる拡大継続への期待は高く、IEEJ Outlook 2026ではレファレンスシナリオにおいて足元から2050年にかけてVREによる発電量は約5倍、技術進展シナリオでは約7倍になると見込んでいる。
VREは日射量や風速などの自然条件によって発電量が大きく変化するため、VREの拡大は電力需給バランスの安定に大きな影響を及ぼしてゆくことになる。例えば、現在でも一部の国や地域(日本では九州地域など)で見られるように、VREからの電力供給によって電力が余剰となる時間帯で一部発電設備の出力を抑制する事例が発生している。また自然条件によってVREの発電量が急減する際、バックアップとしての火力発電が計画外停止するような場合、電力需給ひっ迫が生じる事例も散見されている。
将来に向けてVREがさらに拡大してゆくことが確実な中、VREの発電量の正確な予測に加えて、発電設備の柔軟な運用、蓄電池の導入や系統の整備などVREの変動に対応した電力システムの構築が求められる。
VREの導入量と統合コスト
VREの拡大を前提としたエネルギー転換期のコスト評価としてエネルギー(特に電力) システム全体のコストに着目し、VREの供給変動に対応して系統への統合に必要となるコスト(統合コスト)を勘案した分析が注目されている。
統合コストの分析では、蓄電池や系統整備等の新たな設備の導入コストや柔軟な設備運用(バックアップとしての火力の維持・運営など)にかかるコスト等を勘案することで、 新たなエネルギー転換に向けて必要な技術の導入にかかる費用を、総合的・俯瞰的な視点から、より正確に把握することを重視している。
日本での統合コストに関する分析事例として、資源エネルギー庁の発電コスト検証ワーキンググループでは発電コスト(LCOE)と統合コストの一部を考慮した発電コスト (LCOE*)の差分を要因分解し、充放電損失や出力抑制の影響が大きいことを示している。また、第7次エネルギー基本計画における2040年度のエネルギーミックス(電源構成)の分析でも統合コストを勘案した検討が行われている。
VREの導入量とシステムコストの変化(ASEANの分析例)
IEEJ Outlook 2026では、統合コストを考慮した分析として東南アジア諸国連合 (ASEAN)を対象に2060年までのVREの導入量と統合コストを分析した。
本試算では、ASEANについてエネルギーシステムとしてコスト最小となる2060年断面でのVREシェアが約3割程度となることが示された。このコスト最小となるシェアから VREを増加させると、火力などの従来型発電等が置き換えられることで従来型発電の設備費用や燃料費が減少する。他方でVREの導入にかかるコストが増加するとともに、 統合コストとして蓄電池等の対策費用が増加し、前者の費用減少分を上回り、全体としての費用が増加する。
ASEANにおいて、発電に占めるVREシェアが約8割となる場合は、コスト最小となるシェア(約3割)の場合に対して、2030年~2060年の累積で約1兆3,000億ドルのコスト増になる。
ASEANにおける脱炭素化に向けたエネルギー転換推進に関しては、各国での取り組み強化とともに、ASEAN大での連携、協力が欠かせない。他方で、VREの拡大による対策強化に関しては、追加的コストが各国で大きく異なりうる点に留意が必要である。その背景には、地理的および自然条件やインフラストラクチャーの整備状況の差異があ るため、VREの追加余地がASEAN各国で大きく異なることなどがある。
また、経済状況や国の規模によって追加的な費用への負担の能力にも差がある。VREの更なる活用に向けては国を越えた協力とともに各国で国情を踏まえた多様な道筋による脱炭素化が重要である。
現実を踏まえた気候変動の目標と適応の重要性
1.5°C目標を巡る最近の動向
パリ協定(2015年)では世界の気温上昇抑制の目標を、2℃を十分下回ることおよび1.5℃を下回る「努力を追求」することと規定している。その後、主要国の相次ぐネットゼロ宣言(2020年頃)などによって、1.5℃目標とそれに整合する温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ化の追求が世界の潮流となった。しかし、現実には世界のGHG排出量は増加を続けており、1.5℃目標達成の見通しは厳しさを増している。この状況下、1.5℃目標実現の難しさを示すような新たな実態が世界で顕在化している。
例えば、日本を除く主要7か国(G7)各国および欧州連合(EU)は、現状の排出量が、足元から2050年ネットゼロに向けた排出パスを上回っている。また、カナダの新たな2035年「国が決定する貢献」(NDC)目標は、足元から2050年ネットゼロへの排出パスを上回るものである。
中国とインドの石炭火力動向も注目に値する。中国では、2024年だけで100 GWの新たな石炭火力発電所建設の最終投資決定(FID)が行われた。これは過去10年で最大規模である。一方、過去5年間の石炭火力のスクラップは平均で年間4.7 GWにとどまる。インドでも、同様に2024年に15 GWの新規石炭火力発電所のFIDが行われ、やはり過去10年で最大規模となった。足元の現実は、GHG排出ネットゼロにとって厳しい状況にある。
技術進展シナリオと2°C目標の比較
50%の確率で世界の気温上昇を1.5℃に抑えるための残余カーボンバジェット1 は毎年の排出により急速に減少している。具体的には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書の統合報告書では2020年以降500 GtCO2とされていた。しかし、Indicators of Global Climate Change (IGCC)による最新の評価値は2025年以降130 GtCO2と大きく減少している。この数値は、足元排出の4年分に満たず、直線的に排出を下げる単純な計算では2032年に世界でのネットゼロが必要となる。最新の残余カーボンバジェットの評価値を所与とすれば、1.5℃目標はすでに事実上達成不可能であると言える。したがって、パリ協定と整合的な目標としては、2℃目標を掲げることが現実的となろう。これは必ずしも後退を意味するものではなく、パリ協定のそもそもの目標に立ち戻るということと考えられる。
IEEJ Outlook 2026の技術進展シナリオの2050年までのエネルギー起源CO2排出量を基にして推計した全体としてのCO2排出パスは、2073年にネットゼロを達成するものとなる。また、2025年以降からネットゼロ達成までの累積排出量は906 tCO2となり、最新の残余カーボンバジェット(1,050~1,110 GtCO2)と比較しても世界の気温上昇を2℃(50%確率)に抑制することは達成可能な水準となる。ただし、なるべく高い確率で2℃目標を満たすには、技術進展シナリオを上回る削減可能性を模索・追求することは引き続き重要である。
適応
気候変動対策は「緩和」と「適応」に大別される。「緩和」は、GHG排出増加が気候変動を悪化させないようGHGの削減、吸収源の拡大を行うことである。一方、「適応」は、気候変動による影響・被害を抑制するための気候変動やその影響に対する調節・対応プロセスである。まずは緩和で気候変動の影響を軽減するのが本筋であり、それが難しければ適応を組み合わせてゆくことが重要になる。1.5℃目標が事実上達成不可能な中、今後は適応の重要性がますます増してゆく。
しかし、国連環境計画「適応ギャップ報告書2024」によれば、適応のために必要な資金額と現状の資金供給との間には、8~14倍のギャップが存在する。適応資金ギャップは非常に大きく、このギャップを埋めることが優先事項である。
先進国により提供・調達された気候資金の内訳を見ると、緩和のための資金は2016年で全体の72%、2022年では60%を占めている。一方、適応の割合は2016年の17%、2022年の28%と増加してきている。パリ協定第9条第4項では、資金について適応と緩和との「均衡(バランス)」を目的にしているが、これは適応資金と緩和資金の比率を1対1に近づけることと考えられる。しかし、現状はバランスにはまだ遠く、適応資金と緩和資金とのバランスをとってゆく必要がある。
適応の主な分野を、資金ニーズやモデル推計されたコストの金額で見ると、資金ニーズが高いのは、「農業および漁業」「水および洪水」および「インフラストラクチャー、エネルギーおよび集落」である。その他、「沿岸・海洋資源」「森林および生態系」「保健」なども重要な分野である。現実および将来のニーズを踏まえて、適応のどのような分野を優先すべきか検討してゆく必要がある。
AIとエネルギー需要の将来
AIとエネルギーの関係
人工知能(AI)とエネルギーの密接な相互関係が世界の注目を集めている。その象徴的な例として、近年、生成AIの利用拡大やデジタル化の進展がデータセンターの大幅な拡大をもたらし、局所的にはデータセンターの建設ペースに電力供給設備の建設が追いつかないことへの将来的な懸念が生じていることがある。
また、AIはエネルギー利用に関わる需要部門において、大きな便益をもたらすことが期待されている。AIは産業や運輸、建築物等において、生産性を向上させ、省エネルギーが期待できるなどエネルギー利用自体を大きく変革する可能性を有している。AIは需要予測により、最適な工場運転を導きだし、結果として生産性の向上、ひいては工場等のエネルギー効率を改善することが期待される。運輸では、自動運転により車間距離やルート選択の最適化を通した燃費の向上と等移動距離の短縮による省エネルギーを実 現する。そして、建築物では快適性を維持しつつ空調等の運転を最適化することで省エネルギーを行う。このように、AIとエネルギーの将来は密接に関り合うことになる。
データセンターの電力需要と省エネルギーポテンシャル
世界のデータセンターによる電力需要は、IEEJ Outlook 2026のレファレンスシナリオで、2025年の497 TWhから2035年には1,080 TWhへ2.1倍拡大する見通しである。同期間のデータ量は2025年の230 Zettabytes (ZB)から、2035年には660 ZBへと2.9倍に拡大する。AI演算関連のデータセンターにおける電力消費が上記電力需要の増加分を牽引し、その割合は、現在の14%から2035年には30%へと倍増する。一方でデータセンターの電力消費増加ペースは、2020年~2024年の間に年率17.5%での増加であったものが、2025年~2035年の増加ペースは8.1%へとやや緩やかになる。
世界のデータセンターにおける電力需要は、技術進展シナリオにおいて、2035年時点でレファレンスシナリオ比約20%節減される可能性が示されており、大きな省エネルギーポテンシャルがあるといえる。新規データセンターにおける高効率冷却技術の導 入による電力使用効率(PUE)の改善(同4.5%減)、および情報技術(IT)機器の効率改善(同14.2%減)や演算の効率化(同1.3%減)がこれに寄与する。その実現をどう図るか、が今後の重要課題である。
いずれにせよ、今後新たな情報革命の下で増大する方向にある電力需要をいかに安定的に、競争力のある価格で供給するかが世界のエネルギー問題における最重要課題の1つとなる。
AIによる需要部門の省エネルギーポテンシャル
AIは需要部門での活用により大きな省エネルギー効果が期待される。本研究ではAIによる最適化の効果で、技術進展シナリオからさらに深堀できる省エネルギーポテンシャルを試算した。産業部門では2035年において、技術進展シナリオから追加で2%~6%の省エネルギーポテンシャルがあると見る。短中期的(2025年~2035年)には、既設設備への後付での最適化・効率化のAI導入が主軸となる。業種別では、機械工業を含む非エ ネルギー多消費産業での利用による効果が大きく、石油換算68百万t (Mtoe)、これに化学の26 Mtoe、鉄鋼の21 Mtoeが続く。
2035年において、AIを活用した自動運転による乗用車、バス・トラックの追加的省エネルギーポテンシャルは2035年で36.5 Mtoeに上る。先進国では、技術進展シナリオからの追加省エネルギーポテンシャルが2.9%程度、中国は同2.6%である。一方で、その他の新興 ・途上国における自動運転の導入は大きくは進展せず、省エネルギー効果としても技術進展シナリオからの追加省エネルギーポテンシャルは0.9%~1.8%程度となる。
2035年における業務部門の冷暖房・換気・照明の追加省エネルギーポテンシャルは技術進展シナリオ比で8.8 Mtoe (102 TWh)となる。これは2035年のデータセンターの電力需要をおよそ10%節減する効果に相当する。先進国での2035年におけるAIの省エネルギーポテンシャルは、4.3 Mtoeで、中国は2.6 Mtoeとなる。
AIを搭載した家庭部門の冷暖房・給湯機器の追加省エネルギーポテンシャルは、2035年において先進国で1.5 Mtoe (技術進展シナリオ比2.3%節減)、途上国で0.9 Mtoe (同1.5%節減)と試算される。
今後の普及拡大に向けて
AIの需要側での活用は大きな省エネルギーポテンシャルを有する。しかしながら、その普及と省エネルギーの実現には、さまざまな課題が存在する。AIを活用できる人材が不足することやその効果に関する認識不足が第1の課題として挙げられる。そしてAIの効果を発揮させるには、データの標準化や入力時のルールを決める必要もある。さらには、サイバーセキュリティの確保など、AIの運用時の対応も必要となる。
データセンターの省エネルギーポテンシャルは、ITの効率改善による貢献が相対的に大きい。そのため、従来の中心課題である冷却効率の改善以外にも、IT機器の効率改善に向けた対策・方策が求められる。それには、データセンターの省エネルギーを測る指標としてITの効率など(PUE以外)の追加的評価が求められる。また、データセンター事業者のみならず、半導体メーカーとともにIT関連メーカーといった多様なステークホルダーとの協力が重要である。
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