研究レポート

東京電力管内及び東北電力管内における気温影響を考慮した節電効果に関する試算(9月7日時点)

執筆者 永富 悠
概要  東日本大震災の影響により東京電力管内及び東北電力管内の発電設備は大きな被害を受け、電力不足の懸念が生じることとなった。2011年3月には供給力不足から計画停電が実施され、国民生活に大きな影響を及ぼした。その後、電力会社をはじめ関係各所の努力によって電力の供給力は急速に回復しており、節電の着実な実施によって計画停電を回避しうる状況にある。本稿では、東京電力管内及び東北電力管内の電力需要の実績データに基づいて、気温と電力需要の関係性を整理した上で、気温影響を控除した場合の電力需要の削減率(節電率)を分析し、東京電力管内及び東北電力管内の正味の節電効果を推計した。。

 分析結果より、東京電力管内、東北電力管内ともに政府の節電目標である前年比15%削減を概ね達成していることがわかる。また、気温の影響度に関しては6月より7、8月の方が影響度が大きくなっており、東京電力管内の方が東北電力管内よりも影響度は大きい。この気温影響を控除した電力需要の削減率は東京電力管内、東北電力管内いずれも6、7、8月ともピーク時で13~15%程度と推計され、節電対策の効果が見られる。また、特に東北電力管内に関しては、節電の効果とともに工場などの停止による影響も窺える。分析より東京電力管内、東北電力管内共に着実に節電対策が実施されていることが窺えるが、予期せぬ気温の急上昇や発電所のトラブルなどの不測の事態を考慮すれば、当面は引き続き節電を継続していくべきであると考えられる。
メディア情報 HP (2011年9月9日)
要旨PDF https://eneken.ieej.or.jp/data/4056_summary.pdf
論文PDF https://eneken.ieej.or.jp/data/4056.pdf