報告要旨 |
メタン発酵ガス燃料電池発電システムの
実用化に関する研究協力
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国際協力プロジェクト部 |
プロジェクト調査グループ |
研究理事 湯浅 俊昭 |
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本事業は、「地域適合型太陽光発電システム等の実用化に関する研究協力、メタン発酵ガス燃料電池発電システムの実用化に関する研究協力」というテーマの下に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金を得て行っている研究協力事業で、その実施期間は、平成11年度から平成15年度までの5年間である。本研究協力に関する基本協定書は、日本側、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と中国側、中華人民共和国国家発展計画委員会及び広東省計画委員会によって締結され、それに基づいて、当研究所と広東省広州市計画委員会及び粤華能源原材料開発公司との間で協定付属書を取り交わし、研究協力が行われているものである。
研究協力の狙いは、「中国の無電化地域への電力供給及び二酸化炭素の排出量抑制の対策としてクリーンな発電方式である燃料電池発電を導入普及させるため、メタン発酵ガス燃料電池発電システムの実用化に関する研究協力を行うこと」であり、そのシステムは、「未利用資源(メタンガス、糞尿残渣)の活用、クリーンな発電(燃料電池発電)の実施及び排水(汚濁水)の浄化という各種問題を解決するための総合システム」として位置づけられている。燃料電池は、諸般の事情を考慮して200kWのリン酸型燃料電池を採用する予定である。同時に、「中国及び広東省におけるエネルギー需給状況及び資源利用の現状を把握し、当該システムの中国及び広東省における普及要件を検討すること」も本事業の大きな狙いである。即ち燃料電池としては、既に実用化の段階にあるが、家畜糞尿からのメタン発酵、排水処理、肥料化等全体システムとして最適化すること、更にこの種のシステムを広東省のみならず、全中国に普及する技術的、社会的要件の検討が重要である。
予備的な調査によれば、1万2,000頭の豚から燃料電池を利用して発電できる電力は、200kWに相当する。1997年末現在、中国で飼育されている豚の頭数は、3億8,897万頭に達している。単純計算すると648万kWの発電容量となる(広東省では、1,642.4万頭存在するので、27万kWに相当)。このプロジェクトは、エネルギー源の多様化に資するだけでなく、農村電化特に系統連携の不可能な無電化地域に対して有効な対策と考えられている。
報告書は、「第1部中国(広東省)におけるエネルギー資源利用の現状と未利用エネルギーの活用」と「第2部メタン発酵ガス燃料電池発電システム実用化のための技術用件」の2部構成となっている。
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