インドネシア・カリマンタンにおける石炭輸送最適化調査
国際協力プロジェクト部 石炭調査グループ 
副部長 三室戸 義光  
主任研究員 杉内 信三

 アジア太平洋地域の石炭需要の増大により、インドネシアの石炭生産量は1990年の1,050万トンから2000年には7,644万トンに増加した。現在、インドネシアはアジア太平洋地域において豪州および中国に次ぐ石炭供給国に成長したが、今後も国内の石炭火力発電所の需要増やアジア諸国の石炭需要の増加が見込まれており、インドネシアの石炭生産量は2010年には1億1,830万トンに達する見通しである。また、わが国にとっても、インドネシア炭の輸入量が1990年の94万トンから2000年の1,441万トンに増加し、豪州、中国に次いで3番目の輸入国となっていることからも、インドネシアの石炭動向は極めて重要である。

  現在、インドネシアの石炭生産は、スマトラ島とカリマンタン(ボルネオ島)で行われている。カリマンタンには鉄道がなく、石炭輸送はトラック輸送および河川におけるバージ輸送を主体として行われているが、将来、開発が予定されている炭鉱は、現在生産されている炭鉱よりさらに奥部に移行しバージ輸送も困難となるため新たな輸送手段が必要となる。

  本調査では、カリマンタンにおける将来の石炭輸送を3つのシナリオに分け、最も経済性の高いシナリオを検討した。想定したシナリオは以下の通りである。

(1) シナリオ1:トラックおよびバージを用いた既存の輸送方式による場合
(2) シナリオ2:既存の輸送方式に加え、鉄道を利用する場合
(3) シナリオ3:シナリオ2において海上での石炭積み替え(沖積み)をしない場合

 本調査ではシナリオ2が最も経済性が高く、なかでもカリマンタンの6つの地域における鉄道が有望である。この6路線における2020年の石炭輸送量は5,270万トン、延べ路線長は1,240km、総投資額は17億ドルと見込まれた。今後は、これらの路線に焦点を絞って詳細な調査を行うことにより、将来のカリマンタンの石炭輸送に必要な鉄道ルートを決定することが可能となる。