はじめに

    桜会とは、一般財団法人日本エネルギー経済研究所の職員とOBによって構成され、会員間の親睦を深めると共に、会員相互のネットワークの強化拡充や情報交換の場の提供等を通じ、会員の知見を有機的に活用して、当研究所の健全なる発展と、国内外でのブランド力の向上に寄与することを目的とするものであります。
    桜会の歴史は古く、日本エネルギー経済研究所創立10周年を迎えた1976年に、当時企業から派遣されていた出向・派遣研究員のOBを対象に、相互間の親睦を深めることを目的に設立されました。当時のエネ研は虎ノ門櫻川町の第10森ビルにオフィスを構え、所長以下総勢50名弱の小さな研究所でしたが、オフィス近くに有名な愛宕山があり、春になると全山、桜が見事な花を咲かせ、所員も花見を大いに楽しんだことに由来しています。
    現在の桜会は、従来の「企業からの派遣・出向OBのみを対象とする組織」を発展的に解消し、新たに「エネ研の研究員、スタッフの現役・OBをも含めたオールエネ研の組織」とすることにし、2008年にスタートいたしました。

ご挨拶

































 

 今年も桜の便りが全国各地から伝えられる季節となり、学校や会社では新入生や新入社員を迎え入れ、若々しく活力に溢れる姿に元気付けられる4月になりました。桜会の皆様もお忙しい毎日を送られる中、新年度の始まりを契機に新たな気持ちで仕事や研究に取組まれておられると思います。
 特に今年の4月は新型コロナウイルス感染「第8波」のピークも過ぎたようであり、まだ油断はできませんが、公私両面にわたりコロナ禍で奪われていた日常生活が復活し、新たな活動再開の時期が訪れたのが感じられます。また、3月半ばからは、ラッシュ時の込んだ電車やバスの中などは別ですが、室内でのマスク着用も個人の判断に任されることになり、首都圏では春の風物詩の上野公園などの都立公園のお花見も3年振りの解禁となり、街の賑わいも戻ってきています。
 毎年、桜が咲く頃になりますと、半世紀ほど前の第1次石油危機直後に日本エネルギー経済研究所に出向していた頃のことを思い出しています。当時のエネ研は、虎ノ門の旧町名「西久保桜川町」の第10森ビルにあり、晴れた日には近くの愛宕山の桜が明るく輝いている様に見え、それが「桜会」の名前の由来となりました。今では、第10森ビル周辺は高層ビルに建て替えられ、虎ノ門一帯は「マッカーサー道路」の開通に合わせて再開発が進み、街の景観は様変わりしていますが、今年も愛宕山の桜は満開になったものと思います。
 ところで、エネルギー産業に関与されている皆様は、コロナ禍が収束に向かい、行動の自由度が高まったことを感じられるとともに、欧州が記録的な暖冬に恵まれたことから天然ガスの消費節減の努力が実を結び、心配された天然ガスやLNGの深刻な供給不足やそれに伴う世界的なエネルギー危機への発展が回避されたことに安堵を感じられているものと思います。
 しかし、2年目を迎えたウクライナ戦争の戦火に鎮まる気配はなく、ロシアによる欧州向け天然ガス輸出の削減に加え、西側諸国によるロシアのエネルギー産業に対する厳しい経済制裁が続いています。このため、エネルギーの安定供給と安全保障の確保は依然として難しい課題となっており、特にエネルギー資源小国のわが国には予断が許されない状況が続いています。また、わが国は地球温暖化防止に貢献するため、欧米諸国等に足並みを揃え、温室効果ガス(GHG)排出量を2050年には実質ゼロとすることを公約しており、相反する要素を含む2つの重要課題への対応が求められています。
 このため、わが国のエネルギー政策の羅針盤役を務めるべきエネ研に対する期待は一段と高まっており、桜会の皆様には今年度もそれぞれの立場から桜会の集まりなどの機会を通じてエネ研の調査、研究活動の一層の充実、強化へのご支援を宜しくお願いいたします。


 

2023年4月

大先 一正