韓国の石油産業の現状と動向
石油グループ 研究員 崔 正煥

 韓国は世界第4位の石油輸入国、世界第6位の石油消費国であり、石油は韓国のエネルギーの中で最も大きなシェアを占めている。石油の需要は1990年代の前半には年平均8.1%の高い増加率を示したが、1998年の経済危機によって需要が急激に減少し、以後回復の速度は鈍っている。 ただ、今後も石油は韓国の中心的なエネルギーとして需要が持続的に伸びてゆくものと予想される。

  韓国は石油のほとんどを海外からの輸入に依存する。現在約30カ国から原油を輸入を行なっているが、中東地域からの輸入が全輸入量の75%以上を占めている。エネルギーの安定供給の観点から、この高い中東依存度は早急に是正する必要がある。備蓄能力もまだ脆弱な水準にある。韓国は2001年にIEAに加盟したが、石油備蓄水準はIEAの勧告する水準の90日を大きく下回っている。 現在、韓国の石油備蓄能力は約65日の水準にあり、備蓄施設及び備蓄量の拡充において継続的な努力が必要である。

  1968年に120千B/Dから出発した韓国の石油精製能力は、石油需要の増加に伴い継続的に拡充され、現在では2,438千B/Dとなっている。この水準は国内の消費量からみて過剰であり、多くの石油製品が輸出されている。

  1990年代の後半から本格的な規制緩和が実施され、韓国の石油産業は現在完全な市場競争時代を迎えている。さらに1997年の経済危機は石油業界の構造調整を招き、1999年にHyundai精油がHanwaエネルギー(現Incheon精油)を引き受け、Incheon精油の販売会社を吸収した。現在、韓国にはSK Corp、LG-Caltex、Hyundai Oil、S-Oil の四つの石油精製兼販売会社と精製専業のIncheon精油がある。

  現在、韓国の石油産業は石油製品の輸出入自由化、石油販売業の自由化等の規制緩和等によって新規参入による競争が激化しており、景気低迷による需要の減少もあって石油会社の収益がますます悪化している。特に2000年には、急速な為替レート上昇に伴う為替差損もあって石油会社は最大の赤字を記録した。その中で韓国の石油会社はそれぞれ物流費の軽減、人員削減などの合理化、効率化によりコスト削減を推進している。また石油製品油槽所の共同利用等、石油会社間の戦略的提携も活発に推進されている。